夕暮れに染まり始めた街を、一台の黒いワンボックスカーがゆっくり走っていた。

運転席には橘。

助手席には紫月が座り、窓の外を静かに眺めている。

後部座席では、那瑠と綾人が他愛ない話で盛り上がり、真尋は窓へ肘をつきながら大きく欠伸をした。

倉庫にいた時と何も変わらない。

そんな穏やかな空気だった。

綺羅は一番後ろの席へ座り、窓の外へ流れる景色をぼんやり見つめていた。

昨日までなら、こんな風に誰かと車へ乗ることなんて考えもしなかった。

誰とも関わらない。

そう決めていたはずなのに。

気付けば煌月のみんなと同じ車に乗り、笑い声を聞いている。

まだ少しだけ不思議だった。

そんな綺羅の隣へ、何も言わず星那が腰を下ろす。

綺羅は小さく顔を上げた。


綺羅「……隣、いいの?」


星那「ん。」


短く頷くだけでそれ以上何も言わない。

けれど、その自然さが心地よかった。

車が小さく揺れるたび、二人の肩が少しだけ触れる。

その度に綺羅は少しだけ落ち着かない気持ちになり、窓の外へ視線を逃がした。

一方の星那は、そんなことには全く気付いていないように、小さく欠伸をしていた。