勝負は思っていた以上に盛り上がった。


那瑠「くそっ!」


真尋「はい、負け。」


綾人「また那瑠ビリ。」


那瑠「絶対おかしい!」


悔しそうに机へ突っ伏す那瑠を見て、綺羅は思わず声を上げて笑った。


綺羅「ふふっ……。」


その笑顔を見た瞬間。

星那の視線が自然と綺羅へ向く。

昨日まで見たことのなかった笑顔。

作った笑顔じゃない。

心から楽しそうに笑っている。

星那はその姿を見つめたまま、小さく口元を緩めた。

真尋はその横顔を見て、ふっと笑う。


真尋「星那。」


星那「ん。」


真尋「お前さ。綺羅が笑うと嬉しいだろ?」


突然の一言だった。

星那は少しだけ目を瞬かせる。

そして笑う綺羅をもう一度見てから、小さく頷いた。


星那「……うん。」


その返事はあまりにも素直だった。

綺羅はその言葉を聞いて顔を赤くし、思わず俯く。

倉庫の空気は、また少しだけ温かくなっていた。