その日の夜、お母さんから電話が来た。
「もしもぉ〜しっ!」
歳のわりにすごく若い口調で喋るのは私のお母さんだ。
「もしもし、どうしたの?」
「今月も仕送りちゃんとしたからちゃんとご飯食べてね?」
上機嫌に喋るお母さんに私は相槌をうつ。
「うん、食べてるよ」
「ねぇ、本当にセキュリティの良いところに引っ越さなくていいの?」
「大丈夫だよ」
そう、私はお母さんと別に仲が悪いわけではない。
だけれど、お母さんが再婚してあまり家に馴染めない私は、無理を言って一人暮らしをさせてもらっている。
無理にお願いしたから、お母さんたちに迷惑をかけないように安いアパートを探してここに一人で住んでいる。
寂しくないか?と言われたらそれは寂しいとは思うけれど、ずっと水商売をして私を育ててくれたお母さんにとても感謝しているし、幸せになって欲しいと思っている。
お母さんが幸せそうで何よりだ。
「も〜う、誰に似たのか頑固なんだからぁ……、あっ!まぁくんが帰ってきた。
乃愛!実家にたまには顔だしてよね?じゃあまたねぇ〜」
「ふふっ、仲が良さそうで何よりだよー。また今度遊びに行くね、またね」
電話でも明るく騒がしいお母さんに、笑いがこぼれる。
本当に明るい人だよなぁなんて思いながら電話を切ると、ご飯とお風呂をさっさとすませた。
そして、怒涛の一日を過ごした私は疲れ果ててすぐに眠りにつくのだった。



