そんな異様な光景の中
私のボロボロのアパートまで愁くんは、当たり前のように私の手を引いた。
流石ストーカーだ。
いや、なんとなくバレてるんだろうなとは思っていたけどね?
ここまで来ると逆に感心してしまう。
当然のように、愁くんは私の手を引いて私の部屋の前まで案内してくれた。
「いつもは見届けることしか出来なかったのに、今日から乃愛を部屋の前まで見送れるなんて、すごく嬉しいなぁ」
いつも見てましたと、当たり前のように笑う彼に、おかしいと思うのは私だけ?と思うぐらい、当然のような顔をする愁くん。
「そうなんだね……、あの、送ってくれてありがとう」
彼の奇行に慣れてきて、お礼まで言えるようになった自分にびっくりする。
「ちゃんと戸締りはするんだよ?可愛い乃愛に何かあったら大変だからね。
お願いだから、ちゃんとしてね?」
優しく笑う愁くんは、私のことを本当に心配していて本物の彼氏みたいだなぁ……なんて思ってしまった。
てゆーか……一応、彼氏だっけ?
なんだろうなぁ……
愁くんって普通にしてればすごいかっこいいのにもったいない。
そんなことを考えながら、お礼を言った。
「うん、大丈夫だよ、心配してくれてありがとう!」
「まぁ……もし何かあっても俺が助けるけどね。
俺の乃愛に何かした奴は、俺に殺してくださいって言ってるのと同じだと思わない?」
「……そ、そうだよね……あはは」
ちょっとかっこいいなと思うと恐ろしい言葉が降ってくるところが、愁くんぽい……。
だけれど、最後に私の頭をぽんっと撫でる手はすごく優しくてあたたかい……
「またね」
そう言って笑う愁くんに、少しだけこーゆーのも悪くないな……なんて不思議な気持ちになるのだった。



