─美形ストーカーの狂愛─歪んだ愛が迫り来る。


心の中で必死に田中くんに謝っていると……異変に気づく。



あれ……?静かになった?
急に何も返事がないけど……なんで?



返事が返ってこないことに、不安になった私はおそるおそる顔をあげると



えぇ!?あれれ……?!?



そこには、目の前で予想外の反応をする愁くんがいた。



逃がさないと言わんばかりに、私の顔の横に置かれてた、彼の両手と顔が離れていく。



そして、ここが一番意味がわからないんだけど、何故か頬を赤らめている。


しまいには、落ち着きなくウロウロした後に悶える愁くん。



声をかけていいものか分からなかったけれど、勇気をだして声をかける。




「あ、あの……どうしたの……?」


「ねぇ……俺の名前……はじめて呼んでくれたよね?

うわぁ……やばい、俺の乃愛はやっぱりすっごく可愛い……」



え……そんなこと……?

逆にこっちがびっくりなんだけど……
さっきまでのはなんだったの……?



びっくりして私はそんな愁くんを呆然と見つめる。

そして、目の前で顔を赤らめて悶える愁くんを見ながらありえないことを思ってしまった。



愁くんって意外に、かわいい?

……いやいや、何言ってんだろう私

騙されたらいけない!
この状況になった時のことを、思い出してみてよっ!



なんて、一人で考えていると、やっぱり愁くんは愁くんだった。



「そんなに俺の名前一生懸命呼んじゃってさ……、そんなに俺が好き?」



顔を赤くして嬉しそうに私を見つめる愁くんに「違います」なんて言うことはできなくて……


なにより「違います」なんて言ったら、たぶん田中くんは確定で死ぬ。



「う、うん……」


しぶしぶ返事をする私に、嬉しそうな顔をする愁くんは即答する。


「俺もすごく乃愛が好きだよ

あー、すごく気分がいいから可愛い乃愛に免じて許してあげる」




そう言って色っぽい笑顔でニコリと笑う愁くん。



心の中で「田中くん、よかったね」と思いつつ。



目の前で嬉しそうに笑っている愁くんに、やばい人なのはわかっているけれど、少しだけ可愛いかもしれないと思ったのは私だけのひみつだ。