逃げ場を完全に失った私は、目の前の恐ろしい顔を見て何か言わなきゃ!と、慌てて口を開く。
「田中くんとは……なにもないよっ!本当だよっ!!」
だけれど、私の言葉のチョイスは愁くんにとっては地雷だったようだ。
そう、私は失敗したらしい。
「田中くん…?俺以外の名前を呼ぶなんて許せないんだけど……
何もないって言うけれど、その田中くんは頬を赤らめてたよね?説明してくれる?」
「へっ……?!」
そ、そんなこと知らないし……!
普段から言葉の噛み合わないこの人を納得させるなんて難しくない?!?!
どの言葉が地雷かなんて……わかんないんですけど……っ!
パニックになる私に、追い打ちをかけるようにさらに恐ろしい言葉が降り注ぐ。
「……ねぇ、あいつ殺していいよね?
乃愛は許してあげても、俺の乃愛と二人きりになった田中くんは許せないと思わない?」
私の目の前で、美しく綺麗な顔で笑う愁くんにゾッとする。
これが浮気になるの?!とかいろいろと思うことはあるけれど、そんなことを言ってられない。
だって……愁くんの目が本気すぎるっ!!
このままだと田中くんの身が大変だ、とあわてる私。
なんとしてでも、この状況をどうにかしなければ田中くんは……死ぬ!!
どうにかしなければ!!と、必死に頭をフル回転させてみるけれど……
私の口から出たのは、なんの変哲もないありきたりな言葉だった。
「しゅ、愁くんっ!!お願い!!やめてあげて!!」
必死に絞りだした声で、一生懸命にお願いをしてみる。
もうこの状況いろいろと無理ゲーすぎる……自分の頭の悪さや田中くんを守れなかった不甲斐なさに私は涙目だった……。



