いじわるな指先に惑わされる恋なんてしたくないです!

「あれ、もう蓮見だけ?」

すっかり定時を過ぎた頃、私しかいないオフィスに宇佐美さんが戻って来た。
外回りから戻って来た宇佐美さんは暑かったのかスーツを手に持ってYシャツ姿だった。

「まだコピーやってたの?」

あんたが言ったんやろがい…!!

と思わず突っ込みたくなったけどもちろんそんなことは言えず、最後の1枚を印刷してクリップでまとめた。

「これで終わりです、頼まれた分は」

どうぞ、ともらったUSBと一緒に返した。

「ありがと、そんな大変だった?」

「あ、いえ…そういうわけでは」

コピーするだけだから大変なことはなかったけど、自分の仕事だってあるし、なんていうかその仕事がトラブっちゃってコピーが後回しになってしまった…
だけど頼まれたんだから今日中にどうにかしなきゃって思ったらこんな時間になってしまった。

「悪い、蓮見がそんな忙しいの知らなくて」

「あ、全然!いつもは全然そんなことないので…っ」

それに忙しいのは宇佐美さんの方だから。
こんな時間に戻って来るぐらい仕事が立て込んでる、だからコピーを私に頼んだことわかってる。

そしたら、私に出来ることはしちゃくっちゃ。

「もう遅いから送ってく」

「え?」

「俺、車だから」

「いいですよ、帰れますからっ」

まだ電車はあるし、駅からだってちょっと歩くだけ。
遅いって言っても、もう大人なんだからそんなにどうとかいうあれじゃ…

「俺が困るの、蓮見に何かあったら」

え?
って思わず声が出そうになった。
そんなさらっと何を言うの?って思って…

「俺の下僕だから」

「……。」

ニッて笑ってた、ほくそ笑んでた。
一瞬ドキッとしてしまった自分がすこぶる嫌だ。

補佐だって言ったくせにもう下僕になってるじゃん、公式下僕になって…

下僕が風邪でも引いたら困りますもんね!?

明日のコピー誰がやるんだってねっ!


こーゆうとこが本当むかつく!!