男子はゆっくりこちらへ歩いてくる。
近くで見ると驚くほど整った顔だった。
女子達が騒ぐ理由も分かる。
でも、表情はすごく冷たい。
「白石珀翔」
短い自己紹介。
それだけだった。
私は慌てて頭を下げる。
「よろしくお願いします」
しかし返事はなくて無表情のまま視線を逸らされた。
私は思わず固まる。
もしかして……さっき美月が言ってた近寄りがたいって本当なんだ
そんなことを思いながら、白石珀翔の背中を見つめた。
珀翔「行くぞ」
白石くんはそれだけ言って歩き出した。
うるあ「え、あっ……」
私は慌てて後を追いかけるけど足が長くて歩くのが速い。
少し油断すると置いていかれそうだった。
「待って!」
思わず声をかけると白石くんは振り返った。
珀翔「何だ」
うるあ「速い……」
私が言うと、白石くんは少しだけ眉をひそめた。
珀翔「悪い」
そう言って歩く速度を落とす。
私が早いって言ったから遅めに歩いてくれてるんだ。
意外だな。
もっと冷たい人かと思っていたから。



