「白石くん!」 私は慌てて駆け出した。 振り返った白石くんに写真を差し出す。 「落としたよ」 すると。 白石くんの表情が変わった。 初めて見る顔だった。 驚いたような。 焦ったような。 そんな顔。 「……どこにあった」 声が少しだけ低い。 「そこに」 私は写真を見ないようにしながら答えた。 大切な物なんだろうなと思ったから。 白石くんは写真を受け取る。 「ありがと」 小さな声だった。 そしてすぐに目を逸らす。 私は少しだけ驚く。 初めてお礼を言われた。