校内案内が終わる頃には空が少し赤く染まっていた。
「これで終わり」
白石くんが言う。
「ありがとう」
私は笑った。
ちゃんとお礼を言いたかった。
お礼を言った私に白石くんは少し驚いた顔をした。
ほんの一瞬だけ。
すぐにいつもの無表情に戻る。
「別に」
そう言って背を向けた。
私はその背中を見送る。
冷たい人。
でも。
本当にそれだけなのかな。
そんなことを思いながら去っていく白石くんの背中を見ていたその時だった。
白石くんのポケットから何かがヒラっと落ちる。
白石くんは何かが落ちた事に気付いていない。
私は慌てて拾って白石くんに駆け寄って声をかけた。
「白石くん!」
拾い上げた物を見て、私は足を止める。
それは――
とても古びた写真だった。



