君と幸せなサヨナラをしよう。


君の名前を見て驚くのはもう慣れて、すんなり仕事モードに切り替えられるようになったけど。

いざ目の当たりにするとやっぱり。




「……なんでまたハナなんだよ」

「うっ、うるさいなー!仕事なんだから仕方ないでしょ!はい、チクッとしますよー」

「いってー。もうちょっと優しく刺して」

「はいはい動かないでー」


ああもう、調子狂うなあ。

採血は得意だもん。

大学のとき実習で指導者に「あなた今まで会った実習生の中で一番センスあるよ」って褒められたくらいには上手だよ。マネキン相手だけど。


そういえば付き合ってた頃その話をしょーくんにしたら、「針刺すのだけはうまいんだね」ってなぜか引かれた気がする。

なんだよ、刺すのだけ(・・)はって。他にもちゃんと出来ることあるもん。



「かわいくねぇ顔」

「ん''っ」


無意識に口を尖らせていたらしい私の唇をぷに、と指で押さえつけられる。

びっくりして腰が抜けそうなのをこらえて、なんとか根性でバランスを保つ。