ホテル『パレ・ド・フローラ』でパーティーに出席していた亜紋は、次々と挨拶に来る取引先の社員と挨拶を交わしつつ、時折後方に目を向けていた。
視線の先にいるのは『ゴールデンワールドホテル』を経営する金盛社長。
50代の眼光鋭い金盛は、他のゲストと名刺交換しつつ、口元に浮かべた笑みがどこか胡散臭い。
亜紋は、自分の斜め後ろに控えていた秘書の黒木に目配せする。
黒木は小さく頷いて、バンケットホールの後方に向かった。
「どうやら金盛社長の不穏な動きで、海外のホテル ロイヤルクレストに営業妨害を仕向けているようです」
そう黒木から報告を受けたのは2週間前。
セレブリティをメインターゲットにしているホテル『ロイヤルクレスト』は世界中に25ヶ所展開しているが、なぜか最近海外にあるホテルだけ妙な嫌がらせを受けていた。
具体的には、宿泊予約の大量キャンセルだ。
海外のロイヤルクレストは、現地で一番大きな旅行代理店かホテルの公式サイトからしか宿泊予約はできないのだが、満室になったあと、キャンセル料が発生する直前に一斉キャンセルされる。
それがここ最近何度も繰り返されていた。
つまりホテル側の利益が奪われている。
「日本国内ではそのようなことは起きておりません。関係が希薄になりがちな海外、それも欧米は避けて南国のリゾート地を狙っているようです」
「それが金盛社長の企みだという証拠は?」
尋ねると黒木は「ありません」と短く答えた。
「お前の勘だけ、ということか?」
「はい。ですが必ず証拠を押さえ、亜紋さんに信じていただけるよう……」
「充分だ」
「え?」
「お前の勘だけで充分だ。今度のパーティーで証拠を掴むぞ」
黒木は表情を引き締めて「はい」と頷いていた。
視線の先にいるのは『ゴールデンワールドホテル』を経営する金盛社長。
50代の眼光鋭い金盛は、他のゲストと名刺交換しつつ、口元に浮かべた笑みがどこか胡散臭い。
亜紋は、自分の斜め後ろに控えていた秘書の黒木に目配せする。
黒木は小さく頷いて、バンケットホールの後方に向かった。
「どうやら金盛社長の不穏な動きで、海外のホテル ロイヤルクレストに営業妨害を仕向けているようです」
そう黒木から報告を受けたのは2週間前。
セレブリティをメインターゲットにしているホテル『ロイヤルクレスト』は世界中に25ヶ所展開しているが、なぜか最近海外にあるホテルだけ妙な嫌がらせを受けていた。
具体的には、宿泊予約の大量キャンセルだ。
海外のロイヤルクレストは、現地で一番大きな旅行代理店かホテルの公式サイトからしか宿泊予約はできないのだが、満室になったあと、キャンセル料が発生する直前に一斉キャンセルされる。
それがここ最近何度も繰り返されていた。
つまりホテル側の利益が奪われている。
「日本国内ではそのようなことは起きておりません。関係が希薄になりがちな海外、それも欧米は避けて南国のリゾート地を狙っているようです」
「それが金盛社長の企みだという証拠は?」
尋ねると黒木は「ありません」と短く答えた。
「お前の勘だけ、ということか?」
「はい。ですが必ず証拠を押さえ、亜紋さんに信じていただけるよう……」
「充分だ」
「え?」
「お前の勘だけで充分だ。今度のパーティーで証拠を掴むぞ」
黒木は表情を引き締めて「はい」と頷いていた。



