昼の12時を過ぎた頃、黒木から何度目かの報告の電話があった。
樹莉は、他のスタッフと明るく会話をしながら笑顔で接客していると聞き、亜紋は少し安心する。
気を引き締め直すと、黒木に尋ねた。
「午後も樹莉はなにか催しを担当するのか?」
「そのようです。先程スタッフが集まって、タイムスケジュールを見ながらミーティングをしていました。バンケットホールではなく、中くらいの広さの宴会場が樹莉さまの担当らしいです」
「よし。黒木、その催しにゲストとして紛れ込み、樹莉達スタッフの動きを観察してくれ。あの日のパーティーで、金盛と須藤がなにをやり取りしていたのか、ヒントを得られるかもしれない」
するといつも冷静沈着な黒木が、「はい?」と上ずった声を上げた。
「心配するな。お前がゲストとして入ってもいいように、支配人には俺から連絡しておく」
「いえ、その……」
煮え切らない様子の黒木を、亜紋は訝しむ。
「なんだ、お前らしくないな。なにか問題でも?」
「それが、午後からの催しというのが……。その、婚活パーティー、なのです」
声を潜めてそう言う黒木に、亜紋は虚を突かれて一瞬口ごもった。
「へえ、いいじゃないか。参加しろ」
「えっ、そんな!」
「お前もここ数年ずっとフリーだろう。彼女を探すには絶好のチャンスだ。但し本来の目的を忘れるな。頼んだぞ」
黒木が「あの!」と声を上げた時には、亜紋の指は通話終了のボタンを押していた。
樹莉は、他のスタッフと明るく会話をしながら笑顔で接客していると聞き、亜紋は少し安心する。
気を引き締め直すと、黒木に尋ねた。
「午後も樹莉はなにか催しを担当するのか?」
「そのようです。先程スタッフが集まって、タイムスケジュールを見ながらミーティングをしていました。バンケットホールではなく、中くらいの広さの宴会場が樹莉さまの担当らしいです」
「よし。黒木、その催しにゲストとして紛れ込み、樹莉達スタッフの動きを観察してくれ。あの日のパーティーで、金盛と須藤がなにをやり取りしていたのか、ヒントを得られるかもしれない」
するといつも冷静沈着な黒木が、「はい?」と上ずった声を上げた。
「心配するな。お前がゲストとして入ってもいいように、支配人には俺から連絡しておく」
「いえ、その……」
煮え切らない様子の黒木を、亜紋は訝しむ。
「なんだ、お前らしくないな。なにか問題でも?」
「それが、午後からの催しというのが……。その、婚活パーティー、なのです」
声を潜めてそう言う黒木に、亜紋は虚を突かれて一瞬口ごもった。
「へえ、いいじゃないか。参加しろ」
「えっ、そんな!」
「お前もここ数年ずっとフリーだろう。彼女を探すには絶好のチャンスだ。但し本来の目的を忘れるな。頼んだぞ」
黒木が「あの!」と声を上げた時には、亜紋の指は通話終了のボタンを押していた。



