200文字でゾッ!こわい短編集ー全23話ー

母の認知症が進行し、ついに私の顔すら忘れてしまった。

「あなたは誰?」と尋ねる母に、私は涙をこらえ「あなたの娘よ」と優しく手を握った。

すると母は急に顔を強張らせ、周囲を警戒しながら私の耳元で囁いた。

「嘘おっしゃい。あの子は昔、私がこの手で裏庭に埋めたのよ。あなた、一体誰?」

全身の血の気が引いた。

だとしたら、三十年間ずっと「娘」としてこの家で育てられてきた私はいったい誰なのだろう。