金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

詩月当人がピアニストだと云うこともあり、ピアノの構造をよく勉強している。

製造年代別のピアノやピアノメーカーのピアノの特徴や歴史なども、工房の調律師が詩月の知識には舌を巻くほどだ。

それだけではない。

詩月は1度見た調律や修理技術を即座に理解し、モノにする。

ピアノの音を聴いただけで、違和感の根本原因を的確に突き止め、劇的に再生させる。

工房のベテラン調律師も感嘆するほどだ。

工房の方針で調律も修理も基本、ペアで現地へ向かう。

調律に間違いや段取りに不具合はないかを監視し確認するためだ。

詩月は見習いだが、工房の調律師監視のもとで調律させる。

詩月が調律したピアノで、苦情は一切ない。

今や工房の戦力だ。

何よりも詩月が調律すると、客が驚く。

「こんなに目映い音だったかしら」と。

肩書きを見習いにしているのが惜しいくらいだが、資格を取得していないので仕方ない。