金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

ビアンカが詩月替小百合の処置をする様子を じっと観察していた。

「ずいぶん、手慣れているんだね」

『まあな、指の手入れはしなれているからな。小百合、2.3日はちゃんと様子見しろよ。手入れは自分でできるよな」

「うん」

「よし。じゃあ、ピザ焼こうか。マスター珈琲淹れてね」

ビアンカは救急箱を抱えてバックヤードに入ったかと思うと、直ぐにカウンターでピザを作り始めた。

「小百合、トッピングしてみる?」

小百合はビアンカに呼ばれ、嬉しそうにカウンターに入った。

ビアンカがまだウィーンに不慣れな小百合を気遣っているのを小百合自身、感じていた。

詩月は女子は女子同士で仲良くなるのが早いなと思う。

小百合はドイツ語に不自由していない。

流暢に話せている。

小百合の父親が演奏家のコンサートを取り仕切る仕事で、周桜宗月のコンサートを手掛けたこともある。