金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

「痛っ」

小百合がふいに演奏を中断し、顔をしかめた。

詩月はサッと演奏を止め、小百合の指を見た。

爪と皮膚の間から血が出ていた。

詩月は小百合の指を有無を言わず、口に加えた。

「!……詩月くん!?」

詩月は驚いている小百合にお構いなしに、上着のポケットから絆創膏を取り出した。

何事もなかったように、小百合の指に絆創膏を巻いた。

「これでヨシ」

「ありがとう」

詩月は満足気に微笑んだが、小百合は頬から耳まで紅く染めていた。