金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

まだウィーンでの演奏に不慣れな小百合の演奏をさりげなく支えていた。

共に演奏する小百合との調和をしっかりと保っている。

詩月は普段の小百合からは、元気で忙しなくチャキチャキした印象を受ける。

だか今、小百合の演奏からは、それを全く感じなかった。

優しく落ち着いた望郷の念が伝わってくるようだった。

ーーなかなかやるじゃないか。安坂さんの演奏にも負けていないし、安坂さんより合わせ易い

詩月は日本に思いを馳せているのだろうなと、思った。

ビアンカが詩月と小百合の演奏を間近で、撮影している。

ビアンカは詩月から礼拝後、シュテファン広場で小百合とヴァイオリン演奏すると聞いて駆けつけたのだった。

詩月と小百合の演奏を撮影しながら、あの賑やかな電話の相手が、小柄なごく普通の女の子だったことに驚いている。

ビアンカはもっと派手な容姿を想像していた。