金木犀の奏鳴曲(ソナタ)

「詩月は?」

「詩月なら講義後に寄ると連絡があった」

ーーエリザベート王立国際音楽コンクールのヴァイオリン部門ファイナルで、入賞したら調律を教える

詩月から提案された無謀とも思えた条件を詩月は達成したばかりか、みごとヴァイオリン部門優勝という結果を持って、工房に再訪問した。

あれから2年半が過ぎた。

詩月は4年間の学士課程を2年で取得し今、修士課程で学んでいる。

音大には調律師の専門的な学科がないため、
音大専属の調律師の技術を直に観る機会も殆どない。

調律師になるためには、工房で働き見習いをしながら調律技術と修理技術を学び、調律師の専門学校に通って資格試験に合格しなければならない。

詩月は修士課程に進学してからは、調律師の専門学校にも4年間で合計で7ヶ月間を4回(2ヶ月×3と1ヶ月に分ける)のカリキュラムを消化するため、 通い出した。