春は眩しくて、届かない




——ちゃんと知っていたい。



自分が言った今までと同じ言葉のはずなのに、今日は少しだけ重く感じた。



「……なにそれ」



陽奈は照れ隠しみたいに笑って、ご飯を口に運ぶ。



「そんなの、いちいち報告しないってば」



「じゃあさ」



「バレたら教えて」



その言い方が、やけに静かだった。


陽奈は



「うーん」と困ったように唸ってから、肩をすくめる。



「バレるほどのことないし!」



明るい声。
いつも通りの陽奈。


りのんはそれを見て、小さく笑った。



「そっか」



それだけ言って、またお弁当に視線を戻す。


でも胸の奥では、
さっきの言葉が静かに残っていた。



——もし恋をしたら、教えてね。



秋の光が、窓際の机の上でゆっくり揺れる。


陽奈にとってその言葉だけが、少しだけ季節みたいに離れなかった。