春は眩しくて、届かない




——大丈夫。


ただ、
今日はたまたま一緒に帰らないだけ。


それだけのはずなのに。


並んで歩いていくふたりの背中が、
ゆっくり廊下の向こうへ消えていく。


その瞬間。


胸の奥で、
小さく何かが軋む音がした。


まるで、
私たちの“いつもの日常”が、
少しずつ壊れていく音みたいに。