春は眩しくて、届かない



家までの道を1人で歩きながら、俺は小さく欠伸をした。


夜風はぬるくて、制服の袖が少し張りつく。


図書館に長くいたせいか、頭がぼんやり重い。



——水瀬。



ふと、今日の会話を思い返す。


正直、最初は“鈴野の親友”って印象しかなかった。


いつも陽奈の隣にいる静かな子。
あんまり前に出ないし、目立つタイプでもない。


でも今日、話してみてちょっと印象が変わった。


思ったよりちゃんと喋るし、
意外と冗談にも乗る。


あと、変に気を遣う。



「……男でも危ないの同じでしょ、って」



思い出して少し笑った。


ああいう返しするやつなんだ、と思った。


誰にでも優しいんだろうな、あれ。


チューリップに水やってたのも納得だし。


なんか、水瀬ってそういう細かいことちゃんと見てる。