春は眩しくて、届かない




——変なの。



バッグを抱えたまま、小さく息を吐く。


ただ送ってもらっただけ。
図書館で少し話しただけ。


それなのに。



「……柏木くんって、あんな感じなんだ」



学校で見る姿とは、少し違った。


誰かに囲まれて笑ってる人。
なんとなく遠くて、眩しくて、
自分とは別の世界にいるみたいだったのに。


今日の柏木くんは、
静かな図書館で参考書に眉を寄せたり、
帰り道で


「危ないから送る」なんて当たり前みたいに言ったり。


思っていたよりずっと、普通の男の子だった。



——いや、普通っていうか。



胸の奥がまた少しだけ落ち着かなくなるから。