春は眩しくて、届かない

やがて柏木くんは、小さく息を漏らす。
「水瀬ってさ」
「え?」
「ほんと、そういうとこだよな」
「……?」
「誰にでも優しい」
真面目みたいに言われて、りのんは少し困ったように笑う。
「普通だと思うけど」
「普通じゃない」
湊はそう返して、参考書を閉じた。
「だから余計、送る」
その言い方が妙に自然で、
わたしはもう「大丈夫」と言えなくなってしまった。