春は眩しくて、届かない



ふと思った。



——もし。



もし、りのんに好きな人ができたら。


ふとそんなことを考えて、陽奈はストローを止めた。



「……どうしたの?」



りのんが不思議そうにこちらを見る。



「んーん、なんでもない!」



慌てて笑って誤魔化す。


でも頭の中では、まだその想像が残っていた。


りのんの隣に、誰かがいるところ。


放課後を一緒に過ごしたり、
中庭じゃなくて別の場所へ行ったり。


そうしたらきっと、今みたいに「いつもの場所」で当たり前にお昼を食べることも減るのかもしれない。



——なんか、それは嫌だな。



小さく胸がざわつく。


りのんは優しいから。


誰かに好かれたら、ちゃんと大切にするんだろう。


だからきっと、すぐに誰かの“特別”になってしまう。



「……りのんって、彼氏とか作んないの?」



思わず聞いてしまってから、陽奈は少しだけ後悔した。


りのんはきょとんとして、それから困ったみたいに笑う。



「え、考えたことないかも」



「ふーん?」



陽奈は平気な顔をしたまま、パフェをひとくち食べる。


だけど胸の奥では、少しだけ安心している自分がいた。



——ずるいな、わたし。