春は眩しくて、届かない



でもりのんは違う。


ちゃんと小さいものを見つける。


誰かが落とした消しゴムとか、
元気なさそうな花とか、
困ってる人を絶対に助けるとか。


わたしが通り過ぎちゃうものを、
りのんはちゃんと拾える。


だから一緒にいると、なんだか安心する。


春の日なたの近くにいるみたいに、あったかくて落ち着く。


さっきだってそう。


わたしが受け取った封筒を見て、



「行かなくていいの?」って気にかけてくれた。



ああいうところ、本当に優しい。


きっとりのんだって、ラブレターとか呼び出しとかかなりあるはずなのに。


でも本人は、そういうの全然気づいてなさそう。


静かで、あんまり前に出ないから。


なのに男子の間では時々噂になってる。



「水瀬さんって綺麗だよな」



「なんか高嶺の花って感じ」



そんな声を、わたしは何回か聞いたことがある。


りのんは知らないまま、のんびり笑ってるけど。