春は眩しくて、届かない



私とは違う世界の話みたいだった。


でも陽奈は、そんな空気に気づかないまま笑う。



「それよりいちごだよ、いちご!」



「期間限定って言われたら行くしかなくない?」



くるくる変わる話題に、思わず小さく笑ってしまう。



「……そうかも」



陽奈は満足そうに「でしょー!」と笑った。


春の光が廊下に差し込む。


隣を歩く距離は変わらない。


それなのに時々、陽奈だけが少し遠く見える瞬間があった。



——わたしの目に映る陽奈だけが、輝いているように見えて。



春の日差しを集めたみたいに、眩しくて。


きっと本人は、そんなこと思ってもいないのに。


だからこそ、ずるいと思う。


私はその隣を歩きながら、何度もその光を見上げてしまうのだから。