春は眩しくて、届かない



昇降口へ向かう頃には、
外はもう薄い夕暮れ色だった。


掃除当番が長引いて、
気づけば校内には部活の声だけが残っている。


りのんは鞄を抱えながら、
少しだけ早足になる。



(待たせちゃった……)



昇降口を出る。


すると、
桜の木の近くのフェンスにもたれて、
柏木くんがスマホを見ていた。


春の風が制服を揺らす。