春は眩しくて、届かない



陽奈は人気者。


わたしのクラスでも噂になる程だ。



「鈴野さんってさ、明るくてかわいくていいよね」



「誰とでもすぐ仲良くなれるのすごくない?」



そんな声が、教室のどこかでふと流れてる。


悪い意味じゃない。


むしろ、みんなが自然に認めている感じ。


でも、その“みんなに届く明るさ”が、少しだけ遠く感じるときがある。



——陽奈は、どこにいても中心にいる人だ。



わたしのことを気にかけてくれたのも陽奈の優しさ。


その事実を、私は助けてもらって知っていたはずなのに。



「りのん!おまたせ!」



いつもの声で呼ばれて、顔を上げる。


陽奈は相変わらず、まっすぐこっちに笑っていた。


その隣で柏木くんが、少し気だるそうにノートを閉じる。


さっきまでの距離感が、当たり前みたいにそこにある。



——陽奈は人気者。



その言葉が、今さら胸の奥で静かに響いた。


眩しいのは、たぶん春だけじゃない。


それはきっとみんなもしってる。