春は眩しくて、届かない



陽奈との夜の通話。


最初はいつも通りだった。



「数学終わった?」



『終わるわけなくない?』



「わたしも」



そんな他愛ない話をしていたのに。


突然、
陽奈の声色が変わる。



『……さーて』



「ん?」



『りのんちゃん?』



嫌な予感。


りのんは布団に潜りながら眉を寄せる。



「なに」



数秒の沈黙。


それから。



『柏木くんのこと』




『さすがにもう好きだよね?』



「………………え?」



一気に顔が熱くなる。


電話越しに、
陽奈が絶対ににやにやしてるのが分かった。



『いやもう無理あるって!』



「な、なにが!?」



『“嬉しい”って言われたあと、
りのん今日ずっと顔ふにゃふにゃだったもん』



「そんなことない!!」



『あった!!』



布団に顔を埋める。


うるさい。


でも、
否定しようとするたび、
柏木くんの顔が浮かぶ。