春は眩しくて、届かない




「りのん!」



後ろから聞こえた明るい声に振り返る。


陽奈が、いつもの笑顔でこっちへ走ってきた。



「おはよー!聞いて!さっきね……」



楽しそうに話し始める陽奈を見ながら、私は少しだけ安心する。



「……柏木くんが呼び出されてるの見ちゃって!!!」



思わず足が止まりそうになる。



「また?」



「うん。校舎裏で!」



陽奈は少し声を潜めながら続けた。



「しかも相手、めっちゃ可愛い先輩だった!」



「え」



「たぶん3年の人!すごい綺麗な人だった!」



陽奈は興奮したまま身振りを混ぜる。



「でも振られててさ……」



「柏木くん、なんかちゃんと断ってた」



「……へえ」



それだけ返す。


陽奈は、「やばくない!?」と楽しそうに笑っていた。



「あんな可愛い人でもだめなんだ……ってちょっとびっくりした」