春は眩しくて、届かない



放課後の階段の踊り場は静かだった。


部活の声ももう遠くて、
窓の外の空だけがじわじわ暗くなっていく。


俺はスマホを握ったまま、
しばらく画面を見つめる。



——かけるんじゃなかった。



そう思ったのに、
指は勝手に通話ボタンを押していた。


コール音。


数回のあと、
電話が繋がる。



『……もしもし』



母親の声。


聞いた瞬間、
胸の奥がざらつく。



「……俺」



『湊!?』



声が少し大きくなる。



『あんた今どこにいるの?』



その聞き方だけで、
息が詰まりそうになる。



「……別に」



『別にじゃないでしょ!』




『一年も家出て、連絡もしないで!』



湊は眉を寄せる。


やっぱりこうなる。



『学校にはなんて説明してると思ってるの!?』




『お母さんがどれだけ』