春は眩しくて、届かない



少し困ったみたいに笑って、
柏木くんの隣に座った。


近い。


それだけで変に緊張する。


何話せばいいんだろ。


そんなこと考えていた時だった。


突然、
柏木くんのスマホが鳴る。


画面を見た瞬間、
彼の表情が少し変わった。


小さく首を傾げる。



「……出ないの?」



一瞬迷ったあと、
柏木くんは通話ボタンを押した。


なんとなく、
聞かないように視線を逸らす。


でも。



『あんた一年間どこで暮らしてるつもり?』



聞こえてしまった声に、
呼吸が少し止まる。


1年間?



『学校にはなんて言ってるの?』



電話越しの鋭い声。


思わず柏木くんを見る。


柏木くんは、
今まで見たことない顔をしていた。


硬くて、
冷たくて、
でもどこか苦しそうな顔。



「……あんたに言う筋合いねぇだろ」



低い声。


そのまま通話が切れる。


静かになる。


風の音だけが聞こえた。


りのんはすぐに言葉が出なかった。