春は眩しくて、届かない



さすがに少し気になる。


そんなことを考えていた時だった。


ふと窓の外に視線を向ける。


廊下。


水瀬と鈴野が並んで話しているのが見えた。


鈴野は笑っていた。


3日休んでいたとは思えないくらい、
いつも通りに。


その隣で、水瀬も少し安心したみたいに笑っている。


……ああ。


やっぱりこのふたり、
特別なんだなと思った。


恋愛とか、
そういう言葉だけじゃ足りないくらいに。


しばらくして、
鈴野が教室に入ってくる。



「鈴野おはよー!」




「体調大丈夫?」




「珍しく休みすぎじゃん」



周りはいつも通りだった。


誰も知らない。


3日前、
校舎裏で何があったのか。


鈴野がどんな顔で笑ったのか。


みんな何も知らないまま、
普通に朝を始めている。