放課後。
教室の明かりが消えていく中、ふたりは校舎の外へ出る。
夕陽はもう傾いていて、風が少し冷たかった。
人気の少ない校舎裏。 部活の声も遠くなっていく。
「で、話って?」
柏木くんが壁に寄りかかりながら言う。
一歩前に出る。
「私、柏木くんのことが好き」
声は、思っていたよりもまっすぐ出た。
言った瞬間、胸の奥がきゅっと縮む。
柏木くんは一瞬だけ目を見開いて、それからゆっくり視線を落とした。
少しの沈黙。
そのあと、静かに口を開く。
「……ごめん」
その一言で、全部が分かってしまう。
「鈴野の気持ちには、応えられない」
風が一度、校舎裏を抜けていく。
小さく息を吸った。
「……そっか」
声は震えなかった。
ちゃんと聞けた自分だけが、少しだけ遠く感じる。

