春は眩しくて、届かない




放課後。



夕方の光が公園のベンチをゆっくり染めていた。



「ひな、話ってなに?」



わたしがそう聞くと、陽奈は少しだけ間を置いてから口を開く。



「……言わなきゃいけないことがあるの」



風が一度、木の葉を揺らした。



「私ね」



陽奈は視線をまっすぐ前に向けたまま続ける。



「柏木くんのこと、好きになっちゃった」



わたしの心臓が、一瞬だけ音を失う。



「……そうなんだ」



それしか言えなかった。


陽奈は小さく笑う。



「ひなが大事なこと教えてくれたからさ。
私もちゃんと、本当のこと言おうって思って」



その言葉が、静かに胸に落ちる。