「ここがワタセホテルのバーラウンジ……」
初めて足を踏み入れた、三十階から望む夜景は圧巻だ。
冬の澄んだ時期となると、格別だと思う。
あたしは一角に置かれたこたつに入る。
そして、いそいそとカバンの中から、丁寧に梱包された包みを取り出した。
「お待たせ、いち様っ」
さっそくカゴのみかんと絶景、アクリルスタンドをフレームに収めて試し撮りする。
「きゃーーっ!素敵すぎるっ」
静かな店内に、パシャパシャと鳴り響くシャッター音。
「ラグジュアリーすぎるっ、非日常感すごいっ!」
「楽しんでんのお前だけだろ」
「違う!仕事だからっ」
「違わねぇよ」
腕組みしたまま綾人が呆れ顔で見ている。
そう。
今日は宣材写真の試作として、ワタセホテルのバーラウンジに来ている。
体験プランの一つとして、実際にここにこたつを置いて、おでんや熱燗を楽しんでもらう。
しかも、こんな素敵な夜景を見ながらなんて、ワタセホテルならではだ。
——と、いうか。
さっきからチラチラと見てくる人影。
「何で綾人が付いてきてるの」
「不満かよ」
「……統括責任者さまはお忙しいかと」
「大垣の前でだと、アクスタ出さねぇだろ」
「出すわけないでしょ!」
「だから俺が来た」
「意味わかんないんだけど」
「お前がちゃんと楽しめてるか確認だ」
「それ仕事じゃないから!」
噛みつく暇があったら手を動かせと言われ、再び撮影に戻る。
レイアウトや小物を変えつつ、順調に進んでいった。
「こんなもんかな」
「見せてみろ」
最初に撮影した館内の様子やスタッフさんたちなどを見返していく。
プロには敵わないが、あたたかみがあってこれも素敵だなと思う。
「いいな、どれも」
「でしょ♪あー……あたしもこのプランが出たら、泊まりに来よっと」
「婚約者なのに?」
「こういうのは、ちゃんとお金を払いたいの」
(この企画の出来上がりが、とても楽しみだから)
「……かわいいかよ」
「え?何か言った?」
同じくこたつに入ってきた綾人が隣に寄ってきた。
胸ポケットから取り出したスマホを、徐に向ける。
「ん」
カシャ。
「は?」
「次、温泉だろ」
「今撮ったでしょ」
「行くぞ」
「綾人ぉぉぉっ!」
初めて足を踏み入れた、三十階から望む夜景は圧巻だ。
冬の澄んだ時期となると、格別だと思う。
あたしは一角に置かれたこたつに入る。
そして、いそいそとカバンの中から、丁寧に梱包された包みを取り出した。
「お待たせ、いち様っ」
さっそくカゴのみかんと絶景、アクリルスタンドをフレームに収めて試し撮りする。
「きゃーーっ!素敵すぎるっ」
静かな店内に、パシャパシャと鳴り響くシャッター音。
「ラグジュアリーすぎるっ、非日常感すごいっ!」
「楽しんでんのお前だけだろ」
「違う!仕事だからっ」
「違わねぇよ」
腕組みしたまま綾人が呆れ顔で見ている。
そう。
今日は宣材写真の試作として、ワタセホテルのバーラウンジに来ている。
体験プランの一つとして、実際にここにこたつを置いて、おでんや熱燗を楽しんでもらう。
しかも、こんな素敵な夜景を見ながらなんて、ワタセホテルならではだ。
——と、いうか。
さっきからチラチラと見てくる人影。
「何で綾人が付いてきてるの」
「不満かよ」
「……統括責任者さまはお忙しいかと」
「大垣の前でだと、アクスタ出さねぇだろ」
「出すわけないでしょ!」
「だから俺が来た」
「意味わかんないんだけど」
「お前がちゃんと楽しめてるか確認だ」
「それ仕事じゃないから!」
噛みつく暇があったら手を動かせと言われ、再び撮影に戻る。
レイアウトや小物を変えつつ、順調に進んでいった。
「こんなもんかな」
「見せてみろ」
最初に撮影した館内の様子やスタッフさんたちなどを見返していく。
プロには敵わないが、あたたかみがあってこれも素敵だなと思う。
「いいな、どれも」
「でしょ♪あー……あたしもこのプランが出たら、泊まりに来よっと」
「婚約者なのに?」
「こういうのは、ちゃんとお金を払いたいの」
(この企画の出来上がりが、とても楽しみだから)
「……かわいいかよ」
「え?何か言った?」
同じくこたつに入ってきた綾人が隣に寄ってきた。
胸ポケットから取り出したスマホを、徐に向ける。
「ん」
カシャ。
「は?」
「次、温泉だろ」
「今撮ったでしょ」
「行くぞ」
「綾人ぉぉぉっ!」



