「…………ねぇ、本当に付いてくるの?」
「は?もう車出してるだろ」
朝ごはんを食べたあと、家の荷物を取りに行きたいと言った。
すると、綾人がわざわざ荷物持ちを買ってでた。
有無を言わさない強引さで、車に乗せられている。
「それはそうだけど……わざわざ来なくてもいいんじゃないかなぁ……」
「今さら汚部屋でも驚かねぇけど?」
「違うわっ!掃除はできるからっ」
「じゃ、なに?あー……推し?」
「そうっ!!それっ!!」
(祭壇とか見られたくないのにっ)
「というか、女子の部屋にためらいなくついてくる男もどうかと思うのよ」
あたしは腕を組みながら、じろっと綾人を見る。
「今さら……だろ」
「なによ、その含みのある言い方っ」
「別に。荷物運ぶなら男手要るだろ」
「綾人って……意外と優しいわよね。彼女とか切れなさそう」
「婚約者はお前だろ」
「フリね、忘れないでよ」
綾人は何も言わず、前だけを見たまま車を走らせる。
その沈黙が妙に落ち着かなくて、あたしは窓の外へ視線を逃がした。
「……ほんとに中入るの?」
「まだ言ってんのか」
「だから、その推しのとか……」
「いいから、早くしろ」
そう言いながら綾人は鍵を奪って、シリンダーを回した。
ほんの二、三日留守にしただけなのに、すでに懐かしさが込み上げてきた。
「ただいまっ!いち様っ」
つい、いつものクセで、シューズボックス上のアクスタに挨拶した。
が、綾人はそのまま奥へ進んでいく。
(あれ?……冷やかさない)
あたしは少しだけ、不思議に思いつつ後を追う。
綾人はリビングのドアを開けて、中を見渡す。
「へぇー……志穂らしいな」
「なにが?」
それほど広くないリビングダイニングには、一見普通のOLが好みそうな雑貨がある。
そして、時々推しのアクリルスタンド。
「オンとオフ切り替えてんだな」
「……うん。要るものまとめるから、そこ座ってて」
違う。
確かに、ここは"よそ行き"のあたしの部屋。
元カレに言われて、それらしく繕っただけ。
(って……なんで綾人に言い訳しようとしてるのよ)
「は?もう車出してるだろ」
朝ごはんを食べたあと、家の荷物を取りに行きたいと言った。
すると、綾人がわざわざ荷物持ちを買ってでた。
有無を言わさない強引さで、車に乗せられている。
「それはそうだけど……わざわざ来なくてもいいんじゃないかなぁ……」
「今さら汚部屋でも驚かねぇけど?」
「違うわっ!掃除はできるからっ」
「じゃ、なに?あー……推し?」
「そうっ!!それっ!!」
(祭壇とか見られたくないのにっ)
「というか、女子の部屋にためらいなくついてくる男もどうかと思うのよ」
あたしは腕を組みながら、じろっと綾人を見る。
「今さら……だろ」
「なによ、その含みのある言い方っ」
「別に。荷物運ぶなら男手要るだろ」
「綾人って……意外と優しいわよね。彼女とか切れなさそう」
「婚約者はお前だろ」
「フリね、忘れないでよ」
綾人は何も言わず、前だけを見たまま車を走らせる。
その沈黙が妙に落ち着かなくて、あたしは窓の外へ視線を逃がした。
「……ほんとに中入るの?」
「まだ言ってんのか」
「だから、その推しのとか……」
「いいから、早くしろ」
そう言いながら綾人は鍵を奪って、シリンダーを回した。
ほんの二、三日留守にしただけなのに、すでに懐かしさが込み上げてきた。
「ただいまっ!いち様っ」
つい、いつものクセで、シューズボックス上のアクスタに挨拶した。
が、綾人はそのまま奥へ進んでいく。
(あれ?……冷やかさない)
あたしは少しだけ、不思議に思いつつ後を追う。
綾人はリビングのドアを開けて、中を見渡す。
「へぇー……志穂らしいな」
「なにが?」
それほど広くないリビングダイニングには、一見普通のOLが好みそうな雑貨がある。
そして、時々推しのアクリルスタンド。
「オンとオフ切り替えてんだな」
「……うん。要るものまとめるから、そこ座ってて」
違う。
確かに、ここは"よそ行き"のあたしの部屋。
元カレに言われて、それらしく繕っただけ。
(って……なんで綾人に言い訳しようとしてるのよ)



