ワタセホテルの宴会場【瑠璃】
今日はここで、九条グループとワタセホテルの懇親会が開かれている。
親族や関係者からの挨拶周りも落ち着き、俺は手にしていたグラスにやっと口づけた。
(毎度テンプレみたいな挨拶、ご苦労なこったな)
いや、今回はそうでもないな。
婚約者に関して探りを入れてきたからだ。
とは言っても、前回ここで志穂の大立ち回りを見た奴らは、口を噤んでしまった。
俺は、襟首すれすれの部分に手をやる。
「珍しくご機嫌ですね」
「そうか?変わらねぇだろ」
「ニヤつきの原因は……それですか」
麗華が呆れた顔で近寄ってきた。
彼女が指差したのは、俺が手をやった箇所にくっきり咲いた赤い痕。
昨晩、「ちょっと待ってねっ・・・・・・」と志穂が一生懸命に付けていた。
どうやら、今日行けない代わりにお守りで、と言うことらしい。
「志穂さん、思っていたよりも芯のある方でした」
「知ってる」
「私にもミルクティーを淹れて頂けるのかしら」
「別にいいけど」
「分かってるくせに。……そういう意味じゃないことくらい」
「お前こそ、俺は違うんだろ」
「どうかしらね」
グラスを仰いだあと、感情の読めない笑顔で俺を見る。
「綾人さん、素敵な婚約者をみつけたわね」
「俺の見る目がなかったと思うか」
「志穂さんの見る目があったのよ」
麗華もきっと志穂を気に入ったんだろう。
——素直には言わないだろうけど。
今頃、家で好きなライブDVDでも見ながら笑ってるんだろう。
可愛い彼女の姿を思い浮かべながらグラスを仰いだ。
今日はここで、九条グループとワタセホテルの懇親会が開かれている。
親族や関係者からの挨拶周りも落ち着き、俺は手にしていたグラスにやっと口づけた。
(毎度テンプレみたいな挨拶、ご苦労なこったな)
いや、今回はそうでもないな。
婚約者に関して探りを入れてきたからだ。
とは言っても、前回ここで志穂の大立ち回りを見た奴らは、口を噤んでしまった。
俺は、襟首すれすれの部分に手をやる。
「珍しくご機嫌ですね」
「そうか?変わらねぇだろ」
「ニヤつきの原因は……それですか」
麗華が呆れた顔で近寄ってきた。
彼女が指差したのは、俺が手をやった箇所にくっきり咲いた赤い痕。
昨晩、「ちょっと待ってねっ・・・・・・」と志穂が一生懸命に付けていた。
どうやら、今日行けない代わりにお守りで、と言うことらしい。
「志穂さん、思っていたよりも芯のある方でした」
「知ってる」
「私にもミルクティーを淹れて頂けるのかしら」
「別にいいけど」
「分かってるくせに。……そういう意味じゃないことくらい」
「お前こそ、俺は違うんだろ」
「どうかしらね」
グラスを仰いだあと、感情の読めない笑顔で俺を見る。
「綾人さん、素敵な婚約者をみつけたわね」
「俺の見る目がなかったと思うか」
「志穂さんの見る目があったのよ」
麗華もきっと志穂を気に入ったんだろう。
——素直には言わないだろうけど。
今頃、家で好きなライブDVDでも見ながら笑ってるんだろう。
可愛い彼女の姿を思い浮かべながらグラスを仰いだ。



