お袋は静かに目を伏せると、重い口をゆっくりと開いた。
「……あの子が高校1年生の時にね、お母様が他界されたのよ」
「え……っ」
碧が息を呑む。
「あの子母子家庭だったからお母様がいなくなってからは一人だったの…だから心配でよく声をかけていたのよ…」
すると、響也がハッとした顔をして
「昔…離婚して母親と出ていってた…よな…」
とボソッと訳のわかんないことを呟いてた。
みんなお袋の言葉にそれぞれ険しい顔をする。
母親が他界して…一人ぼっち…。
そんな悲しいことが…あいつに…
「それからは、高校に通いながらバイトをして生計を立ててたみたいなの。
一生懸命学校にも通って頑張っていたわよ?
だけど……一人で背負うにはあまりにも苦しい生活だったんでしょうね。
その証拠にあの子はある日突然声が出なくなってしまったのよ」
お袋の口から語られる澪の過去は、俺たちの想像を遥かに超える衝撃で過酷なものだった。



