10月の衣替えの季節。
私たちのクラス(私と瑠香ちゃんはB組、空くんと春馬くんはD組……のはずだったんだけど、なんと2学期からは4人とも同じクラスになれたんだ!)で、お馴染みの「席替え」が行われることになった。
「よーし、各自くじを引けー」
担任の先生の声に、教室がガヤガヤと湧き立つ。
私は小さく折りたたまれた紙を開いた。数字は「24」。
「あ、窓際の一番後ろの席だ……」
静かで良い席だけど、みんなと離れちゃうかな。そう思ってちょっと寂しくなった時、瑠香ちゃんが私のくじを覗き込んできた。
「真奈、何番? ……24番ね、おっけー!」
瑠香ちゃんは不敵な笑みを浮かべると、そのまま後ろにいた春馬くんに目配せをした。
春馬くんは小さく頷き、なぜかまだくじを引いていなかった空くんの背中を強引に押す。
「ほら空、早く引いてこいよ!」
「押すなよ春馬、うぜぇ……」
空くんが気だるげにくじを引き、自分の席へ戻っていく。
その瞬間、すれ違いざまに春馬くんが空くんの手元からくじをひょいっと奪い取った。
「あ、23番じゃん! いい席だな!」
「おい、勝手に見るな……って、え?」
空くんが固まる。
なんと、23番は――私のすぐ隣、窓際の廊下側の席だった。
「はいはーい、私は29番だから、真奈の斜め後ろね!」
瑠香ちゃんが嬉しそうに私の肩を叩く。ちなみに春馬くんは通路を挟んだ隣の席。
席を移動しながら、私は心臓が口から飛び出そうだった。
嘘……。空くんが、すぐ隣……!?
机を並べ終え、私の左側には空くんが座った。
授業中、ふと横を向くだけで、空くんの綺麗な横顔が嫌でも目に入る。
教科書をめくる音、シャープペンの芯が走る音、すべてが近すぎる。
「……何見てんだよ」
ノートを取っていた空くんが、視線に気づいてぶっきらぼうに言った。
「えっ!? あ、ううん! 何でもない!」
慌てて前を向く私。
すると、空くんが小さくため息をついて、机の下で私の制服の袖をツンツンと引っ張った。
「……これ、わかんねぇ。教えろ」
差し出された空くんのノート。でも、そこに書かれているのは、さっき先生が解説したばかりの簡単な問題。
いつも数学が得意な空くんが、わからないはずがない。
「え、これ……?」
「いいから。……こっち向けよ」
そう言って、空くんは自分の机をほんの数センチ、私の机にピタッとくっつけた。
お互いの肩が触れ合いそうな距離。
後ろの席から、瑠香ちゃんと春馬くんが「ニヤニヤ」という効果音が聞こえてきそうな顔で見守っていることなんて、今の私には全く目に入らなかった。
教科書を挟んで、二人の距離が、物理的にゼロになる。
これが、私たちのドキドキな秋の始まりだった。
私たちのクラス(私と瑠香ちゃんはB組、空くんと春馬くんはD組……のはずだったんだけど、なんと2学期からは4人とも同じクラスになれたんだ!)で、お馴染みの「席替え」が行われることになった。
「よーし、各自くじを引けー」
担任の先生の声に、教室がガヤガヤと湧き立つ。
私は小さく折りたたまれた紙を開いた。数字は「24」。
「あ、窓際の一番後ろの席だ……」
静かで良い席だけど、みんなと離れちゃうかな。そう思ってちょっと寂しくなった時、瑠香ちゃんが私のくじを覗き込んできた。
「真奈、何番? ……24番ね、おっけー!」
瑠香ちゃんは不敵な笑みを浮かべると、そのまま後ろにいた春馬くんに目配せをした。
春馬くんは小さく頷き、なぜかまだくじを引いていなかった空くんの背中を強引に押す。
「ほら空、早く引いてこいよ!」
「押すなよ春馬、うぜぇ……」
空くんが気だるげにくじを引き、自分の席へ戻っていく。
その瞬間、すれ違いざまに春馬くんが空くんの手元からくじをひょいっと奪い取った。
「あ、23番じゃん! いい席だな!」
「おい、勝手に見るな……って、え?」
空くんが固まる。
なんと、23番は――私のすぐ隣、窓際の廊下側の席だった。
「はいはーい、私は29番だから、真奈の斜め後ろね!」
瑠香ちゃんが嬉しそうに私の肩を叩く。ちなみに春馬くんは通路を挟んだ隣の席。
席を移動しながら、私は心臓が口から飛び出そうだった。
嘘……。空くんが、すぐ隣……!?
机を並べ終え、私の左側には空くんが座った。
授業中、ふと横を向くだけで、空くんの綺麗な横顔が嫌でも目に入る。
教科書をめくる音、シャープペンの芯が走る音、すべてが近すぎる。
「……何見てんだよ」
ノートを取っていた空くんが、視線に気づいてぶっきらぼうに言った。
「えっ!? あ、ううん! 何でもない!」
慌てて前を向く私。
すると、空くんが小さくため息をついて、机の下で私の制服の袖をツンツンと引っ張った。
「……これ、わかんねぇ。教えろ」
差し出された空くんのノート。でも、そこに書かれているのは、さっき先生が解説したばかりの簡単な問題。
いつも数学が得意な空くんが、わからないはずがない。
「え、これ……?」
「いいから。……こっち向けよ」
そう言って、空くんは自分の机をほんの数センチ、私の机にピタッとくっつけた。
お互いの肩が触れ合いそうな距離。
後ろの席から、瑠香ちゃんと春馬くんが「ニヤニヤ」という効果音が聞こえてきそうな顔で見守っていることなんて、今の私には全く目に入らなかった。
教科書を挟んで、二人の距離が、物理的にゼロになる。
これが、私たちのドキドキな秋の始まりだった。



