敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています

「いきなり来て、本当にごめん」

 成美のマンションの部屋を訪れた私は、上がり込んですぐに両手を合わせて謝罪した。

「いいよいいよ。謝らないで。陽咲が泊まりに来てくれたら私も楽しいし」

 成美とは高校の同級生で、三年のときに同じクラスになったことで仲良くなった。
 彼女は優しくて、オタク話も面倒くさがらずに聞いてくれて、なんでも話せる友人だから、だらしない父のことも包み隠さず伝えている。

「これ、駅前で買ってきた」

 人気ケーキ店のショッピングバッグをそっと手渡すと、成美は途端に苦笑いを浮かべた。

「ショートケーキだ。ありがとう。もう……気を使わないでって、いつも言ってるのに」
「おいしそうだから買ってきただけだよ」

 親しき中にも礼儀あり、ということわざがある。
 友達だからといって甘えてばかりいるのは、どうにも気が引けて私は性に合わない。

「晩御飯、まだだよね? 今からパスタを作るから陽咲も一緒に食べよう」
「うん。ありがとう」

 成美は簡単なレシピだからと言いながらも、きのこがたっぷり入ったバター醤油パスタを作ってくれた。
 支度が整い、ふたりで「いただきます」と手を合わせてから口に運ぶと、コクのあるバターの香りが鼻から抜けて、幸せな気持ちに包まれる。

「成美、おいしい!」
「そう? 口に合ってよかった」