私のぷくっと膨らんだキモチ、今が食べごろです

耳元で囁く声に、抑えきれない心臓の音が叫び出す。

熱のこもった吐息がさらに体を熱くさせるから。

「桜木は俺に懐いてきてんのかなって嬉しかったんだけど?」

「それは…」

「本当は違ったの?」

「…。」

「桜木のあんな視線、誰にも向けてほしくないって思ったのに」

「…っ」

頬を触られたままじっと見られて、しかもこんな近くで。

眞尾先輩の顔が見られなくてずっと下を向いたまま大福を握りしめてた。

「まさかライバルが大福(これ)とは思わなかった」

「すみません…っ!!」

これこそ本当に謝るしかなくて、別に全然そんなつもりなんかなかったんだけど…

ゆっくり顔を上げたらにこっと笑ってた。

「もう俺にしといたら?」

だって思ってしまったんだもん。
触れたいって思ってたのに、ずっとその頬に触れたかったのに。

「俺のことだけ見といてよ」

思ってたはずなのに…、今はもうそんなこと思えなくて。

じっと眞尾先輩を見てた、瞳の中には眞尾先輩しか映らなくて。

「俺は桜木のことしか見てないよ」

見られてドキドキする、もうずっと見ていてほしい。

目を離さないでほしい。


出来たらそのまま、私をー…


「眞尾先輩、…こっちです」


ゆっくり指を差した。
ほんのり震えちゃったけど、眞尾先輩の方を指さした。


ドキドキ心臓がうるさくて息苦しい、自分では抑えきれないぐらい息が上がってるから。


だから眞尾先輩、止めてもらえませんか?


「桜木…」

思ってたんです、眞尾先輩に触れられた瞬間。

思ってしまったんです、眞尾先輩に食べられたいって。


その口に、その頬に、ぱくっと私ごと食べられてしまいたいってー…


「このまま二口目も食べちゃうけど、い?」


止まらなくなる、どんどん膨らんで。

そんな顔で見られたら私の気持ちが膨らんでどうにかなってしまいそう。


そんな顔で見ないで…

でも本当は嬉しくて、ずっと見ていてほしくて。


「…はい」

だから目を閉じた。
そしたらもう眞尾先輩のことしか考えられなくなるから、眞尾先輩のことしか見えなくなるから。

そっと近付く眞尾先輩の温度を感じて、柔らかい感触に必死に息をする。

息苦しさなんて忘れてしまうほど、ただ夢中になって満たされていく。

眞尾先輩でいっぱいになって、眞尾先輩でいっぱいにするの。


だから眞尾先輩、最後まで残さず食べてくださいね。