私のぷくっと膨らんだキモチ、今が食べごろです

「急にごめんね、でも桜木が来てくれて助かったよ」

「いえ、私なんかでお力になれたなら!」

「すごいよかったよ、これならこの企画も上手くまとまるんじゃないかな」

ほんのりお酒の入った帰り道、無事取引先との食事会も終わって気持ちが軽かった。
事務の私が呼ばれることはあまりない食事会に緊張して、だからやーっと解放されたと思ったら一気にお酒が回ってくるみたいだった。

「付き合ってくれたお礼に何かするよ」

少し前を歩いていた眞尾先輩が振り返る。
駅の近くはまだ明るい、だけどこんな時間に眞尾先輩と2人きりなんてないから少しだけドキドキしてた。

「何がいい?」

少しだけ上を見る、眞尾先輩もお酒が入ってるはずなのにいつもと変わらない顔でにこっと笑うとキュッと頬が上がった。

「ちょっと高いケーキとか、今度差し入れしようか?」

たぶんね、こんなチャンスもうないんじゃないかなって思ってた。

きっと言うなら今だって、今しかないって。


だっていつも隣にいる眞尾先輩が私の前にいることなんかないから。


「…それって、今でもいいですか?」

じっと瞳を見つめて、瞬きもしないで。

見つめ合った眞尾先輩の視線に、心臓が静かにしていられなくて。

「いいけど、まだ食べられる?てゆーかケーキ屋さんってまだやって」

「じゃなくて!」

「え?」

「ケーキじゃないです、ケーキじゃなくて…」

きっとこれはお酒のせい、気持ちが止められなくてもう他のことなんか考えられない。

眞尾先輩を前にしたら、他のことなんか…


「大福が食べたいです!」


すみません、眞尾先輩。

酔った勢いで許してください。