その日のことを、 Mちゃんはたぶん一生忘れない。 ⸻ 夏だった。 ⸻ 夜風が少しだけ涼しくて。 ⸻ 蝉の声が遠くで聞こえていた。 ⸻ 二人は並んで歩いていた。 ⸻ いつもと同じ帰り道。 ⸻ でも。 ⸻ どこか違った。 ⸻ 言葉が少なかった。 ⸻ 沈黙が長かった。 ⸻ そして。 ⸻ Kくんが立ち止まった。 ⸻ 「Mちゃん」 ⸻ その声だけでわかった。 ⸻ 終わるんだ。