「春日さん」 「はい」 「うちに来ませんか」 形式を踏むなら、 もっとプロセスを重ねるべきだっただろう。 でも、 その瞬間にそう言わないと、 何かを逃してしまう。 彼女は目を瞬かせて、 少しだけ俯いてから、顔を上げた。 「……はい。検討させてください」 誠実な返事だった。 このときはまだ、 彼女は僕のことを〝面接にいた人〟としか認識していない。 ヘッドハンティングを仕掛けた本人だと知るのは、 もっとずっと後の話だ。