壱くん、お願いだから近づかないで。




「そろそろ、テスト勉強しないとやばくない? 範囲どこだっけ」

「そだね、今日勉強する? 佑茉と花純も一緒にどう?」

「私はいいけど」

「私、委員会が今週まであるから……」



 図書委員はテスト週間の一週間前まで、しっかりと活動がある。カウンター係もほぼ毎日あるから、今日も私は放課後は雉真くんと一緒だ。仕方ないとは思いつつ、まだ慣れない。



 教室に戻ると、雉真くんが廊下の端で待っていた。


「あ、佑茉ちゃん。今から移動教室になったみたい」

「そうなんだ……もしかして、ずっと待っててくれたの?」



 遠足の前まではできるだけ話しかけないでオーラを出していたのに、今ではこうして普通に話しかけている。自分でも慣れるのが早いなと思うけど、毎日席が近くて、授業も同じ班で、委員会も一緒となれば——話さないわけにはいかない。それだけのことだ。