壱くん、お願いだから近づかないで。





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「佑茉〜ご飯食べよ!」

 午前の授業が終わり、昼休みのチャイムが鳴った瞬間にゆっこが飛んでくる。あっという間に荷物を持たされて、いつものメンバーと連れ立って中庭へ向かった。ここが私たちのお昼ご飯スポットだ。適度に木陰があって、人が少なくて、風が通るから気持ちいい。


「佑茉ちゃんと雉真くん、図書委員まで一緒とか……なんか運命感じるわね」

「運命とか言わないでよ。私は本当は男の子と関わりたくないんだから」

「でも遠足の時、いい雰囲気だったじゃない! キュンとはしなかったわけ?」


 遠足の時というのは、転んで擦り傷を手当てしてもらった時のことだ。確かにあの時、彼の手が触れてドキドキしたのは認める。でもそれは、男の子に触れることに慣れていなかっただけだ。それだけのことだ。


「キュン、したのね! ふふふ、佑茉ちゃんにも春がきたね〜」

「ち、違うっ! 私は、そんな」

「動揺してる〜可愛いなぁ。まぁ、毎日あんなに一緒にいればそうなるよね」

「だから、違うからっ」


 私はそう言い切って、おにぎりに思い切りかぶりつく。お茶で飲み込んで、それ以上は何も言わなかった。女の子としてはちょっとお行儀が悪いけれど、ここには私たちしかいないし大丈夫。

 去年は普通に教室でお昼を食べていたなと思い出すと、少しだけ懐かしくなった。

 昼休みは過ぎるのが早い。気がつけばもう、十分前のチャイムが鳴っている。