壱くん、お願いだから近づかないで。






「え、図書委員を一緒に……?」

「そうなの。編入してあまり学校のことわかってないと思うし、遠足も同じ班だったしさ」



 遠足から帰ってきて、週が明けた月曜日の放課後。

 私は図書委員会に入っているため、いつも通り図書室へ向かった。扉を開けるとふわりと紙と木の香りがして、それだけで少し気持ちが落ち着く。図書室は私にとって好きな場所の一つだ。静かで、誰も急かしてこなくて、本に囲まれているだけで安心できる。

 でも今日は、委員長に声をかけられた瞬間からその安心感が崩れた。


「ね? ダメかな?」

「でも……」

「松岡さんは去年から図書委員だし、しっかりしてるし、仕事も丁寧だし。一番頼みやすいのよ」


 確かに私は去年から図書委員で、仕事の流れもだいたい把握している。やってと言われれば一人でこなせる自信もある。でも、それとこれとは話が別だ。相手が女の子なら何も悩まないけれど、男の子で、しかも雉真くんということは——彼と過ごす時間が増えるということで。

 もう最悪だ。

 だけど委員長に『一番頼みやすい』なんて言われてしまったら、断れるはずがない。気がつけば私は頷いていた。