壱くん、お願いだから近づかないで。



「……き、雉真くん」

「は、はいっ」

「スワレルセキサガシニイキマショウカ」


 完全に片言になってしまって、自分で自分が恥ずかしくなり俯く。


「ふはっ……佑茉ちゃんって面白いねっ」

「なっ、何を笑ってるんですか! もう、早くベンチ探しましょう!」


 ぼそぼそっと言いながら歩き出す。公園の中を少し進むと、木陰になった静かなベンチが見つかった。木漏れ日がちらちらと落ちてきて、人も少ない。ここがいいと判断して荷物を置いた。


「角谷さんに電話するね」


 雉真くんと目を合わせないようにしながらスマホを取り出して、角谷さんに電話をかける。「今向かってるよ〜」という返事を聞いて電話を切り、それからベンチの端の方にそっと腰を下ろした。